「シェルタリング・スカイ」



 ポール・ボウルズ「シェルタリング・スカイ」読了

 そんじょそこらの小説とは格が違う、という感じ。


 「ここの空は奇妙だ。空は硬くて、背後にあるものから僕らを守っているような気がする」
 「背後にあるものから?」
 「そうだ」
 「背後に何があるの?」「何もない。ただの闇だ。絶対的な闇だ」


 この一節に尽きる。後はいらないほど。

Photo: iPnone8
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「ある作家の夕刻」



 フィッツジェラルド「ある作家の夕刻」読了

 フィッツジェラルドの作品に通底する滅びゆくものの美しさは尋常ではない。滅びゆくもの(多くはフィッツジェラルド自身をモデルにしたアルコール依存症の作家)そのものには感情移入できなくても、崩壊してゆく過程の描写には心を揺さぶられる。これぞ文学の力。

「それでもデミアンは一人なのか?」



 森博嗣「それでもデミアンは一人なのか?」読了

 前シリーズを継承したものであることは導入部ですでに明らか。前シリーズは森作品の中でも完成度が高く、僕は好きだったのでこの作品も楽しめた。

 森博嗣はテクノロジーの進歩により人間が死ななくなった世界を描いている。あくまでフィクションの世界なのでどうこう言うつもりはないけど、僕は脳は80歳位が寿命でそれ以後は退行していき、他の臓器は人工的に代替できても、同じ程度のテクノロジーでは脳の寿命を伸ばすことはできないと感じる。

 したがって、人工知能を有するロボットには未来はあるが、脳を持った人間や昔でいうサイボーグ(森作品ではウォークアロン)にそれはないと思えるのだが。

「美しく呪われた人たち」




 F.S.フィッツジェラルド「美しく呪われた人たち」読了

 これは傑作だ。フィッツジェラルドの人間観察の鋭さ、小説の構成力のうまさはずば抜けている。しかし、それも前半までで、後半の支離滅裂感は否めない。

 そもそもロスト・ジェネレーションの主人公が破綻するのは絶頂期だった前半から予兆があるのだから、唐突で不自然とも感じられる破綻の要因を無理に設定する必要はなかったのではないか。そういう意味では失敗作という世評はあたっている。けれども、失敗のレヴェルは高い。僕は「グレート・ギャッツビー」よりも好きである。

Photo: iPhone8

「ラスト・タイクーン」



 フィッツジェラルド「ラスト・タイクーン」読了

 フィッツジェラルドの未完の遺作。「失われた時を求めて」のようにほぼ完成に近い原稿が残っているのではなく、物語が作者の死の直前でちょん切れている。完成すれば傑作になったろうと思う。主人公のスターはギャッツビーよりも感情移入しやすいキャラクターだと僕は感じた。

 訳もいいとは思わないが、途中でやめたくなるほどひどくもなかった。電子書籍は読みやすくていい。
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joyce

Author:joyce
還暦をすぎ第二の職場に通う日々。自分では気を使っているつもりでも、妻からは自由人と言われている。

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