「失われた時を求めて」

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 2010年に第1巻が刊行され、9年をかけて完結した岩波文庫版「失われた時を求めて」。第14巻を読了した。これで井上究一郎訳、鈴木道彦訳、吉川一義訳の3種類の翻訳を制覇したことになる。

 僕の印象ではプルーストの原文の癖や読みにくさを日本語によく再現したのが井上訳。読みやすさに徹したのが鈴木訳。両者の訳を踏まえて、プルーストの原文に即しつつ読みやすい日本語に移し替えたのが吉川訳、といったところ。岩波文庫版は翻訳者の長年の研究成果に基づく注釈も充実している。

Photo: iPhone8
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「三体」

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 劉慈欣「三体」読了

 おもしろい。ただ、三体人が登場する前までがよりいい。三体人の登場以後は物理学のうんちくで間延びするところもある。とはいえ、日本で出版されているのは全体の3分の1だから、今後どういう風に展開するかが楽しみだ。
 
 そして、訳文がいい。もとが外国語による小説とは思えないほど自然な日本語で読みやすい。名訳だと思う。

「八つ墓村」



 横溝正史「八つ墓村」読了

 これはすごい。謎解きものの推理小説としてもすぐれているし、ちゃんと人間の心理が描かれている。アガサ・クリスティーもこれほどうまくはないし、犯罪者を異常性欲の持ち主に還元しないところもさすがだ。

 有名な作品なので、一度読んだことがあるし、映画も観たと思っていたが、記憶のある部分がなにもないのでそうでもないようだ。でも、読んだことがあるような気もする。なんなのだ、このどっちつかずの感覚は。

「旅愁」



 横光利一「旅愁」読了

 とにかく長い。紙の本だと1,300ページに及ぶ大長編。しかも、大半が西洋コンプレックスを背景とした日本賛美で、今ではほとんど意味のない議論が延々と続く。当時はヨーロッパの文化に関する理解が十分ではなかったのだろう。何事も情報がなければ自己を相対化できないことだけは判る。

 しかしながら、小説としての構成が匠で文章もうまいので、ついつい読み進んでしまう不思議な作品である。終わりにきて、この小説が未完のままということを初めて知った。

「人生の親戚」



 大江健三郎「人生の親戚」読了

 これも再読で、「楡家の人びと」と異なりけっこう細部まで覚えていた。女性主人公のパンティが出てくる場面が強烈な記憶に残っていたら、やはりあった。

 ヒロインの倉木まり恵は実在の人物をモデルにしたものではなくまったくのフィクションだと思うが、そうとは思えないほどのリアリティを有している。この作者の筆力のすごさにはまいる。
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還暦をすぎ第二の職場に通う日々。自分では気を使っているつもりでも、妻からは自由人と言われている。

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